第76期の将棋名人戦への挑戦権をかけて、
プレーオフが始まっています。
しかし、今年の竜王戦で羽生善治竜王を破った
藤井聡太さんは対象になっていません。
他のタイトル戦と違い、
名人戦だけは挑戦者の階級条件があり、
すぐには挑戦できないようになっています。
新人が名人戦に挑戦できないのは、
なぜなんでしょうか?
将棋名人戦に挑戦するための条件とは?
名人戦に挑戦するには、
順位戦というのを勝ち上がり
「A級」になる必要があります。
順位戦は
- C級2組
- C級1組
- B級2組
- B級1組
- A級
の順に昇給します。
6月~翌年3月にわたってリーグ戦を行い、
その成績に応じて次年度のクラスと順位が決まる仕組みです。
藤井聡太さんの場合、
今年は「C級2組」、
来年は「C級1組」です。
ただし、どんなに強くても、
たとえA級の人に勝ったとしても
飛び級はできません。
そのため、名人戦の挑戦者となるまでには
最短でも5年かかるようになっています。
今日の対局は、#順位戦 #B級2組 最終戦 #中村大地王座 対 #澤田真吾六段
どちらも若い頃から有望視されている棋士同士の闘いです。
昼食は、中村王座が紫金飯店の豚肉とアスパラのバターポン酢炒め。
澤田六段は注文なしです。 pic.twitter.com/S1uU7TQvPU— 肝属兵衛 (@tesso_1970) 2018年3月7日
段位と将棋名人戦・順位戦の関係は?
紛らわしいのですが、
名人戦・順位戦の成績(例:C級2組、A級)と、
段位(例:四段、五段)は別ものです。
名人戦や順位戦、その他のタイトルで好成績を治めると、
段位が上がるという関係になっています。
そのため、他でタイトルをとってしまうと、
段位に比べて順位戦のクラスが低い、
ということが発生します。
例えば、藤井聡太さんの場合、
第11回朝日杯将棋オープン戦で優勝したことで
「五段昇段後全棋士参加棋戦優勝」
という条件を満たして六段になりました。
(詳しくは日本将棋連盟の「昇段規定」に記載されています)
【六段への昇段規定】(どれか1つを満たす)
- 竜王戦2組昇級
- 五段昇段後竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
- 順位戦B級2組昇級
- 五段昇段後タイトル挑戦
- 五段昇段後全棋士参加棋戦優勝
- 五段昇段後公式戦120勝
藤井聡太さんが最短で2018年5月に七段になるかも!?
と言われていますが、
「竜王ランキング戦連続昇級」
という条件を満たす可能性があるからです。
【七段への昇段規定】(どれか1つを満たす)
- 竜王挑戦
- 竜王戦1組昇級
- 六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝
- 順位戦B級1組昇級
- タイトル1期獲得
- 六段昇段後全棋士参加棋戦優勝
- 六段昇段後公式戦150勝
今になって昨日のツイートに写真を載せ忘れたと気付く(笑)。
昇段規定はこんなです(´・ω・`) pic.twitter.com/ZrmEGpM0Bz— ポロリ (@porori0408) 2018年2月18日
名人戦には、なぜ最初から挑戦権がないのか?
「実力があれば、いきなり名人戦に挑戦できてもいいんじゃないか?」
「成長著しい新人にもチャンスを!」
という意見もあります。
しかし私は、現在の名人戦の仕組みは
理にかなったものだと考えています。
理由1:他タイトルとの差別化
竜王戦など、実力のある新人が力を示せる場はたくさんあります。
(というか、そっちの方が多い?)
名人戦のように、挑戦権を得るまでに
何年もかかるものの方が少ないので、
このままで良いのだと思います。
理由2:勝ち続けることは難しい
周囲に実力を知られれば、
相手に研究される可能性が高くなります。
相手は自分の弱点を徹底的に研究している。
それでも勝つ!
これってスゴくないですか?
人間には調子のいい時もあれば、
悪い時もあります。
それでも勝ち続けられる人こそ、
「名人」の呼び名にふさわしいのではないでしょうか。
加藤一二三(1940~)
将棋棋士。史上初めて中学生でプロとなり、名人をはじめ数々のタイトルを獲得。棒銀や矢倉の定跡の発展に大きく寄与し、「加藤流」と名のつく戦法は数多い。「神武以来の天才」「ひふみん」の愛称で親しまれる。現在はタレントとしても活躍中。 #天才列伝 pic.twitter.com/iLrY6KuqNG— 偉人列伝bot (@geniusretsuden) 2017年11月11日
まとめ
名人戦に挑戦できるのは、
「勝ち続けられる実力を持った人」
だけです。
名人戦の挑戦者の条件である「A級」になるのに
最短でも5年かかるのは、それが理由です。
「名人」と呼ばれるようになるには
成長し続けることが重要なんだと思います。
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